アジア地域初! 陸域生態系によるCO?吸収動態を明らかにする大規模基盤データセット「JapanFlux2024」を構築

2025年08月22日

研究?産学連携

 森林や水田、湖沼などの陸域生態系が、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスをどの程度吸収?放出しているかを把握することは、地球温暖化対策に必要不可欠です。欧米諸国では、各地の観測拠点で得られたデータに基づき、陸域生態系のCO2吸収量の長期的な変化を記録したオープンデータセットの整備が進んでいる一方、アジア地域では包括的なデータセットは整備されていませんでした。

 大阪公立大学大学院農学研究科の植山 雅仁准教授、髙尾 勇太大学院生(博士前期課程2年)と、黄金棋牌の市井 和仁教授、国立極地研究所の矢吹 裕伯特任教授、東京大学の日浦 勉教授、熊谷 朝臣教授、村岡 裕由教授、信州大学の岩田 拓記准教授、国立環境研究所の高橋 善幸室長、弘前大学の石田 祐宣准教授、森林総合研究所の深山 貴文室長、新潟大学の永野 博彦助教、電力中央研究所の中屋 耕副研究参事、名古屋大学の檜山 哲哉教授らの共同研究グループは、1990年から2023年の33年間にわたって日本および周辺地域の83か所の観測地点で収集された、延べ683年分の観測データを統合し、アジア初の大規模オープンデータセット「JapanFlux2024」を構築しました(図1)。本データセットは、陸域生態系によるCO2吸収?放出量や気象環境を30分間隔で連続測定したもので、生態系ごとのCO2吸収量に関する日変化、季節変化、経年変動、さらにはその地理的分布の評価が可能です。今後は、本データセットを活用したCO2吸収量の予測モデル開発や、衛星観測データと組み合わせた広域評価など、幅広い研究の促進が期待されます。また、日本をはじめとしたアジア地域における陸域生態系のCO2吸収量の定量的な評価や、気候変動対策への貢献も見込まれます。

 本研究成果は、2025年8月21日に国際学術誌「Earth System Science Data」のオンライン速報版に掲載されました。

  • 図1 「JapanFlux2024」の構築に用いた日本および周辺地域の観測地点の例